慢性腎臓病、急性腎臓病
●腎臓とは?
通常、腎臓は左右一対で存在します。メインの働きは尿を作ることで、体内の代謝物、毒素などを体外へ排泄する機能があります。また、体内の水分量や電解質成分、pH、血圧の調節、赤血球の分化など、様々な場面で重要な役割を担っています。
●急性腎臓病とは?
何らかの原因により急速に腎臓組織が傷害され、腎臓の機能が落ちている状態です。その代表的な原因と症状は以下のとおりです。
●慢性腎臓病とは?
何らかの原因により徐々に腎臓の組織が傷害され、3ヶ月以上の不可逆的な機能低下が続いた状態です。犬では初期病態として全身性高血圧、蛋白尿が現れます。猫では初期病態として尿細管の障害が起き、正常より薄い尿が出始めます。猫は目に見える初期症状は出にくく、症状が出た際にはすでに腎臓病が進行してしまっていることがほとんどです。神経 症状を呈するほど進行した腎臓病は「尿毒症」と 呼ばれ、緊急治療が必要となります。糸球体性蛋白尿、全身性高血圧、尿路感染症、高リン血症、貧血、低張尿・等張尿の排泄などは慢性腎臓病を進行させる悪化要因となるため、発見された場合には早期に治療が必要となります。持続的な高リン血症は二次性上皮小体機能亢進症を引き起こします。慢性腎臓病の代表的な原因と症状は以下のとおりです。
●診断方法は?
血液検査、尿検査が有用です。血液検査は絶食状態で測定することが理想的です。尿検査は朝一番の排尿で得られた尿で行われることが理想です。慢性腎臓病は病態によってステージングが分けられています。
●急性腎臓病の治療法は?
腎臓を傷害している原因を取り除き、腎臓の機能を回復させることが基本となります(病態により 治療方法は異なります)。
・静脈点滴による体循環の改善
・尿毒素の排泄促進
・リン吸着剤、及び乳酸菌製剤の投与
・嘔吐などの諸症状に対する対症療法
・下部尿路疾患がある場合にはそれに対する治療
など
●慢性腎臓病の治療法は?
慢性腎臓病の進行は不可逆的なものであり、原則として腎臓組織を再生、完治させることは不可能です。体内に溜まった尿毒素を排泄し、残存した腎臓組織の機能を維持していくこと、諸症状の改善を目的に対症療法を行うことが原則となります。(病態により治療方法は異なります)。
・水分摂取量増量
・低たんぱく食(腎臓食)の給餌
・リン吸着剤、及び乳酸菌製剤の投与
・血管拡張薬による腎血流量の改善
・食欲不振などの諸症状に対する対症療法
・輸液療法による体循環の改善、尿毒素の排泄促進
・腹膜透析
など