ホーム>ただしいスキンケア用品の選び方・使い方
  • ホーム
  • 院長挨拶
  • スタッフ紹介
  • 診療時間
  • アクセスマップ
  • ブログ
コンテンツ

ただしいスキンケア用品の選び方・使い方

まずはシャンプーを使用する目的を明確にしましょう

 シャンプーは目的(症状)に合ったものを選ぶのが大切です。例えば、アトピー性皮膚炎には比較的洗浄力の弱いやさしいシャンプー、細菌感染が認められる場合には消毒作用のある薬用シャンプー、脂でベタつきがひどいときには洗浄力の強いシャンプーを選びましょう。また、皮膚の変化に合わせてシャンプーの種類も柔軟に変えていくことが大切です。

購入前に確認!そのシャンプーは化粧品?雑貨?

 汚れを落とすための「界面活性剤」という物質が入っているもので、人間や犬猫の毛に対して使うものを特に「シャンプー」と呼びますが、比較的安価で購入できるシャンプーの裏側を見ると、ほとんどが「雑貨」と書かれています。

 シャンプーの種類を確認するときに一番大事なのは、「ちゃんとしたシャンプー」なのかどうか。「ちゃんとした」とは、つまり、皮膚へのダメージケアを考えて作られているかどうか、です。具体的には、「化粧品扱い(ヒトの皮膚に使っても有害性が少ないことが確認されている品物、ヒューマングレードの品物)」なのか、「雑貨品(肌へのダメージを考慮していない、ただの洗剤)」なのか、です。「雑貨品扱いのシャンプー」は何が配合されているかの成分表示の義務がなく、また、皮膚トラブルを起こしても、販売者には法的に商品回収をする義務がありません。そのため、乱暴に言えば、食器用洗剤であろうと、雑貨品扱いであればシャンプーとして販売することも可能なわけです。

 一方、「化粧品」として販売されているシャンプーは、法律上、配合成分の表記義務があります(医薬品医療機器等法第61条)。もちろん、「表記されているから絶対に安心」というわけではありませんが、雑貨品シャンプーよりは遥かに安心と言えるでしょう。ただし、ヒト用の化粧品シャンプーが必ずしも犬の皮膚にやさしいわけではありません(ヒト用シャンプーはあくまで人の皮膚に合わせて作られているため、犬の皮膚にやさしいとは限らない)。

皮膚に合うシャンプーの選び方

シャンプー選びでのポイントは

  • 「動物用」かつ「化粧品」シャンプーを選ぶこと(「ヒト用シャンプー」=「犬猫の皮膚にやさしい」ではない
  • 皮膚炎があるかどうかを確認すること(獣医師に相談する)
  • 「売り文句」ではなく「成分表」をよく見ること

化粧品シャンプーには必ず成分表が書かれており、界面活性剤の種類も必ず、明記されています。以下に症状に合わせた界面活性剤を載せました。皮膚の状態によっては選ぶべきシャンプーが変わる場合がありますので、皮膚が良くならない場合には獣医師にご相談ください。

界面活性剤のグループ 界面活性剤の名前 特徴

高級アルコール系

硫酸系

(主に石油由来)

ラウリル硫酸ナトリウム、

ラウレス硫酸ナトリウム、

ラウレス硫酸アンモニウムなど

洗浄作用が強く、べたつきが強い油汚れに最適ですが、アトピー性皮膚炎など、皮膚バリアーが弱っている皮膚には刺激が強すぎて逆効果になることもあるため、注意が必要です。

石鹸系

(主に植物由来)

オレイン酸ナトリウム、

ラウリン酸ナトリウム、

ステアリン酸ナトリウムなど

高級アルコール系に比べると比較的マイルドな洗浄能力を持ちます。脂汚れが落ちづらいが、高級アルコール系では皮膚が荒れてしまう場合に使用することがあります。アルカリ性の界面活性剤であるため、キューティクルへのダメージ、毛のきしみのトラブルに注意が必要です。

アミノ酸系

(植物由来が多い)

ココイルグルタミン酸ナトリウム、

ラウロイルメチルタウリンナトリウム、

ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、

ラウラミノプロピオン酸ナトリウムなど

アミノ酸と脂肪酸から作られる界面活性剤で、洗浄力は比較的マイルドで、皮膚への刺激が少ないため、アレルギー性皮膚炎への使用が推奨されているタイプです。脂を取り過ぎないため、治療をした後の皮膚のケアの維持や、保湿ケアが必要な皮膚に最適です。
脂(ベタつき)がひどすぎて取れない場合には?

頑固な脂汚れには、以下のような方法を試みます。

  • 高級アルコール系(硫酸系)界面活性剤を使用する
  • 二度洗いをする(シャンプーを洗い流した後、再度洗う)
  • クレンジング剤を使用する

上記の方法では脂汚れが良くとれるようになりますが、同時に必要な脂も奪ってしまうことが多いです。一見皮膚に良くない方法のように思えますが、不要な脂だけを洗い落とすよりも、油を一緒くたに落としてしまって、あとから必要な脂を補うほうが効率的で、かつ効果的です。そのため、必ずシャンプー後には保湿ケアをおこないましょう。また、クレンジング剤は油性製剤であるため、シャワーで身体を濡らす前の乾いた状態で、脂汚れが気になる部分に使用することが大切です。シャンプーをする人の手もガサガサになります!ご自身のスキンケアもお忘れなく!

ベタつきがひどい場合でも、犬アトピー性皮膚炎が疑われたり、洗浄力が強いシャンプーが不適切な場合にはアミノ酸系界面活性剤などのマイルドなシャンプーを使用するほうが良い場合もあります。シャンプーの選択に迷ったら、獣医さんに相談してみましょう。

薬用シャンプーの使い方は?

 薬用シャンプーとは、皮膚病の治療のために使用する特殊なシャンプーのことを言います。代表的なものは、消毒薬が入った殺菌用シャンプー、保湿成分が入った保湿用シャンプーなどです。薬用シャンプーによって使い方に細かい違いがありますが、ほとんどの場合、泡立てたシャンプーを患部になじませ、5~10分間静置する(浸け置きにする)という方法が多いです。静置している間に、消毒薬が皮膚へ浸透し、ばい菌を殺菌してくれます。

 皮膚の汚れがひどい場合には、消毒成分の効果が減弱してしまいます。その場合には、濡らす前にクレンジング剤を使用したり、別のシャンプーで下洗い(べたべた汚れを落とすくらいまで洗う)をおこなったうえで、その後に薬用シャンプーを使用します。

保湿剤の選び方

 アトピー性皮膚炎に限らず、ワンちゃんやネコちゃん皮膚は人間の皮膚よりもかなり薄く、ナイーブなつくりをしています。そのため、ちょっとした乾燥、刺激で傷つき、かゆみや皮膚炎の原因になってしまいます。シャンプーで原因の物質(ばい菌やアレルゲン)を洗い流すことも大事ですが、必要な脂までも洗い流してしまうことが多いため、良かれと思って行ったシャンプーのせいで、逆に皮膚のコンディションが悪くなることもあります。そのため、シャンプーをおこなった後には必ず保湿ケアをおこないましょう。

 保湿剤には大きく分けて①閉塞性保湿剤、②保持性保湿剤があります。①はワセリンなどのような、皮膚の表面をパックしてしまうことで、水分の蒸発を防ぐ保湿剤ですが、毛が生えている部分には使いづらいため、局所的な使用に適しています。②は薬効成分そのものが水分を保持する作用があります。多くの保湿剤がこちらのタイプで、商品によって局所使用、もしくは全身使用が可能です。①と②はそれぞれ働き方が違うため、併用することで高い保湿効果が期待できます。

 ②の保湿剤には沢山の種類がありますが、当院では以下のような保湿剤をおすすめしています。

保湿剤のタイプ 商品名(主要成分名) 特徴
①閉塞剤 白色ワセリン(石油由来高純度ワセリン) 薬局でも購入が可能です。
②保湿剤

アフロートモイスチャライズ(リピジュア)

原液を薄めて、濡れた体にかけて使用する保湿剤です。脂が抜けたところに浸透しやすく、むら無く保湿ができます。シャンプー後の手触りが良くなります。最もよく使用するベースの保湿剤です。
ダームワン(複合セラミド)

海外では「アトピックダーム」という名称で、アトピー性皮膚炎の専用保湿剤としての地位を確立している保湿剤で、アトピー性皮膚炎での使用が推奨されています。

乾燥した背中に処置をすると皮脂腺に沿って全身に広がるので処置がとても簡単です。週に2〜3回処置をすることで高い効果が期待できます。維持をする場合には週1回でも良いでしょう。処置後に背中が濡れてしまうことがデメリットです。

セラミドスプレー(複合セラミド) 複合セラミドを気になるところに直接スプレーして使用するタイプです。気になるところに局所的に使ったり、全身にくまなくかけるなど、使い分けが可能です。
ビーソフテンクリーム・ゲル(ヘパリン類似物質(医薬品)) 局所使用によく使われる保湿剤で、ゲルタイプとクリームタイプがあります(ローションタイプもあります)。ヘパリン類似物質が血行を促進することで、皮膚の炎症を引かせる作用があります。皮膚の毛細血管の血流が弱っているタイプの乾燥肌に効果的です。皮膚を柔らかくする作用があり、塗り薬と併用することで相乗効果が期待できます。